AIに任せる仕事は、大きな依頼をそのまま渡すのではなく、入力・作業・出力・確認・承認の単位に分けて渡します。1工程に1つの明確な出力があると、AIが得意な作業と人間が確認すべき作業が分けやすくなり、結果が安定します。複雑な作業を小さく分割し、検証可能な中間成果を作る考え方は、NISTのAIリスク管理でも基本とされています[1]。
タスク分解が必要な理由
「記事を書いて」「サイトを改善して」のような曖昧な依頼は、AIに多くの推測をさせます。推測が外れても、どこでズレたかが分かりません。小さく分けることで、各工程の出来栄えを個別に確認できるようになります。
判断フロー
依頼をカードに分けるか迷ったら、次の順に問います。
- この作業の出力は1つに決まるか?(NOなら分割)
- 出力の正しさを人間が見る必要があるか?(YESならその直後に確認カード)
- この作業は取り返しのつかない操作を含むか?(YESならその直前に承認カード)
- AIが連続して得意な処理か?(YESならまとめてもよい)
5つの分解軸
| 軸 | 問い |
|---|---|
| 入力 | AIに何を与えるか(資料・条件・出典) |
| 作業 | AIに何をさせるか(分類・生成・比較) |
| 出力 | どんな形で出すか(表・下書き・コード) |
| 確認 | どこで人間が事実を見るか |
| 承認 | どこで人間がOKサインを出すか |
良い工程の条件
- 1工程に1つの出力
- AI工程の直後に人間確認
- 公開・削除の前に承認
- 完了条件が書ける
粒度が大きすぎる例
「サイトを改善して」を1枚のカードにする。範囲も基準も確認もなく、AIが勝手に変更を本番へ反映する危険があります。どこで何を変えたか後から分からず、責任の所在も曖昧です。
細かすぎる例
「aを集める」「bを集める」「aとbを並べる」「並べたものを読む」を別カードにする。AIが連続して得意な収集→分類→比較をばらばらに切り、往復だけが増えます。どこで何を確認したかも曖昧になります。
工程へ分けた改善例
- 対象範囲を決める(HUMAN)
- 現状を確認する(HUMAN)
- 改善案を列挙する(AI)
- 優先順位を決める(HUMAN)
- コードを生成する(AI)
- 差分を見る(HUMAN)
- テストする(HUMAN)
- 危険な変更がないか確認する(HUMAN)
- 保存する(SHARED)
- 公開する(HUMAN)
記事作成の例
- 目的を決める(HUMAN)
- 必要な情報を集める(AI)
- 出典を確認する(HUMAN)
- 比較表を作る(AI)
- 下書きを作る(AI)
- 事実を照合する(HUMAN)
- 表現を整える(SHARED)
- 最終承認する(HUMAN)
- 公開する(HUMAN)
AIコーディングの例
- 目的を決める(HUMAN)
- 条件を書く(SHARED)
- 対象範囲を決める(HUMAN)
- コードを生成する(AI)
- 差分を見る(HUMAN)
- テストする(HUMAN)
- 危険な変更がないか確認する(HUMAN)
- 最終承認する(HUMAN)
- 保存する(SHARED)
調査作業の例
- 目的を決める(HUMAN)
- 必要な情報を集める(AI)
- 出典を確認する(HUMAN)
- 比較表を作る(AI)
- 事実を照合する(HUMAN)
完了条件の悪い例・良い例
悪い例:「よさそうになったら完了」。何をもってよいかが決まっておらず、確認が抜けやすい。
良い例:「要件の5項目をすべて満たし、リンク切れが0で、人間が最終承認したら完了」。確認可能な形で書く。
受け渡しが多すぎる場合
AIと人間の往復が極端に多いと、どこで何を確認したかが曖昧になります。AIが連続して得意な作業(収集→分類→比較)はまとめても支障ありません。
完了条件の書き方
「必要な要素が含まれている」「動作し要件を満たす」のように、確認可能な形で書きます。「よさそう」は完了条件にしません。
すぐ使えるチェックリスト
- 目的が一文で書ける
- 各工程に担当が決まっている
- AI生成の直後に人間確認がある
- 公開前に承認がある
- 完了条件が明記されている
FAQ
- どこまで細かく分ければいいですか?
- AIが連続して得意な作業はまとめ、人間確認や承認が要る境界で切ります。
- SHAREDはいつ使いますか?
- AIが下書きし、人間が仕上げる作業(表現調整・保存・ログ)に使います。
- AI/HUMAN/SHAREDは公的基準ですか?
- いいえ。AGENT WORKBENCHのサイト独自モデルです。公的資料は「人間の監督を組み込む」ことを求め、具体的な分担は現場で決めます[2]。
- 分解してもAIの出力品質は上がりますか?
- 必ずしも上がるわけではありませんが、どこでズレたかが分かり、人間確認を効かせやすくなります。
- 一度きりの作業も分解しますか?
- 繰り返さない小さな作業は口頭の方が早い場合があります。チームで再現したい作業に向いています。
Workbenchで試す
参考資料
- AI Risk Management Framework (AI RMF 1.0) — NIST 原文を確認 確認日:2026-07-13
- OECD AI Principles — OECD 原文を確認 確認日:2026-07-13
- ワークフロー設計のガイド
- AIに仕事を渡す前のチェックリスト
- AGENT WORKBENCH ツール:https://agent-workbench.kawaii-girl.com/
最終確認日:2026-07-13