このページは、AIに仕事を任せるかを判断するためのデータセット(72件)が「何であり、何でなく、どう読むべきか」を説明します。統計的証明や公的標準ではなく、編集チームの構造化された検討材料です。

データが何か/何ではないか

  • あるもの: 一般的な仕事を「AIに任せやすいか」を8つの尺度と重大フラグで整理した、72件のヒューリスティック表。
  • ないもの: 特定のAIツールやプロセスの性能評価、公的機関の基準、科学的に検証された尺度。
  • 使い方: 自分の仕事を写し、どこに人間の確認を置くかを考えるためのたたき台。最終判断は人間の責任。

8つの尺度(1〜5)

値の向きを統一しています。ただし approvalNeed / permissionRisk / sensitiveData / externalImpact は「高いほど慎重に」、reversibility / verifiability / rollbackEase は「高いほど委任しやすい」です。

尺度1(低)5(高)意味の統一
reversibility戻せないすぐ戻せる高いほど委任しやすい
externalImpact内部のみ第三者・社会へ広範囲高いほど慎重に
sensitiveData含まない高度に機微高いほど慎重に
verifiability検証困難検証しやすい高いほど委任しやすい
domainExpertise不要資格・高度専門性高いほど人間主導
permissionRisk変更なし重大な権限変更高いほど慎重に
approvalNeed不要必須の人間承認高いほど人間主導
rollbackEase困難容易高いほど委任しやすい

重大フラグ(major flags)

いずれか1つでも含む仕事は、自動実行せず人間の確認・承認を置きます(単純平均で相殺しません)。

  • irreversible — 戻せない操作(削除・公開・支払い等)
  • external-publication — 第三者へ公開・発信
  • financial-transaction — 金銭の授受・契約
  • permission-change — 権限・設定の変更
  • personal-data — 個人情報の取扱
  • security-control — セキュリティ設定・制御
  • high-impact-decision — 高影響な判断(法律・医療・金融等)
  • emergency-response — 緊急時の対応

推奨モードの決定順

重大フラグあり → HUMAN_REVIEW_REQUIRED 以上(HUMAN_LED / DO_NOT_AUTOMATE)。重大フラグなし → 尺度の「慎重さ」と「委任のしやすさ」のバランスで AI_ASSIST / SHARED を選びます。平均点で重大フラグを薄めないことが最大の原則です。

  • AI_ASSIST: AIが下書き・候補を出し、人間が方針と確定を担う(支援)
  • SHARED: AIと人間が工程を分担し、確認地点を設ける(共有)
  • HUMAN_REVIEW_REQUIRED: AIの出力後に必ず人間の確認・承認を置く
  • HUMAN_LED: 人間が主導し、AIは記録・下書き補助にとどめる
  • DO_NOT_AUTOMATE: 自動実行せず、責任者・専門家の判断を優先

ゲート(requiredGates)

各仕事に「どの確認を置くか」をゲートとして付与しています。主要カテゴリ(source-check / fact-check / privacy-review / security-review / legal-review / financial-approval / release-approval / rollback-plan)に加え、実務に即した具体的なゲート(human-approve / test-run / publish-approve 等)を用います。

根拠(evidence)

データセットの各項目は、该当する場合に一次資料・査読論文・公的文書を evidenceIds で参照します(マトリクスページの「根拠」列、および リサーチハブのソース一覧を参照)。あくまで「検討の方向性」の補強であり、個別の事例では必ず一次情報を確認してください。

72件の選定方法

「AIツールでよく現れる仕事」を12のカテゴリ(調査・要約・文章作成・データ整理・ソフトウェア開発・Web運用・顧客対応・公開・管理・クリエイティブ・セキュリティ等)に分け、各カテゴリから代表的なものを選びました。網羅性を狙うものではなく、判断のパターンをつかむための標本です。

人間レビュー

全72件は編集チームが各項目の尺度・フラグ・ゲート・ rationale を手動で記述・相互チェックしました。reviewedAt に最終確認日を記録しています。

バージョニングと再現性

データセットと方法論は schemaVersion / METHODOLOGY_VERSION で管理し、変更は change notes に残します。JSONCSV はビルド時に同一内容から生成され、いつでも再現できます。

限界(limitations)

  • 尺度は主観的評価(1-5)に基づくヒューリスティックであり、統計的証明ではない。
  • 個別の文脈(組織・法令・契約・業界)によって適切な判断は変わる。
  • AIの性能・安全性は前提としておらず、ツールの代行を推奨するものではない。
  • 最終決定は必ず人間の責任で行う。本データは検討材料である。
  • 値は時間経過とともに見直す(reviewedAt を参照)。

反例

「AIに任せられる仕事リスト」のようなタイトルは意図的に使いません。例えば data-deletion(削除)は戻せないため DO_NOT_AUTOMATElegal-review(法務検討)は最終判断を専門家に置く HUMAN_LED としています。「任せてよい」と機械的に並べると誤用の元になるためです。

更新方法

新しい仕事の類型が増えたり、法規・実務が変わったりした場合、data/ai-delegation-matrix.json を編集し、scripts/generate-matrix-output.mjs で配布ファイルを再生成、check:matrix / check:matrix-output で検証します。変更は 更新履歴に記録します。

引用

本データセット・方法論を参照する場合は、公開日とバージョンを明記してください。ライセンスはサイトの 編集方針 を参照(架空のライセンス表記は行いません)。

参照資料(source-list)

  • NIST — AI Risk Management Framework (AI RMF 1.0), 2023
  • NIST — Secure Software Development Framework (SSDF), 2022
  • OWASP — Top 10 for Large Language Model Applications, 2025
  • OWASP — Top 10 Web Application Security Risks, 2021
  • OECD — AI Principles, 2019
  • W3C — WCAG 2.1, 2018
  • CISA — AI safety resources
  • GitHub — Copilot official docs
  • EU — Regulation (EU) 2024/1689 (AI Act), 2024
  • Santoni de Sio & van den Hoven (2018) — Meaningful human control, Ethics and Information Technology

FAQ

このデータで「AIに任せてよい」と自動決定できますか?
できません。最終判断は人間が行います。本データはその判断を支える材料です。
点数が高いほどAIに任せてよいですか?
単純な点数ではなく、重大フラグの有無が優先されます。フラグがあれば自動実行しません。
自社の業務にそのまま使えますか?
雛形として使い、自社の法令・契約・リスク許容度に合わせて見直してください。